「グローバル・エイジ」のリーダーからの提言

ニューチャーアジア 小川 光久 2010年9月29日

今われわれ日本人はすでに“多くの戦争”に巻き込まれております。みなさんもちょっと気をつけて身の回りをしっかり観察してみると、すぐにその“現象”を発見できるのではないでしょうか。
 
日本だけでなく、今世界は“戦争状態”にあります。こういうと大げさに聞こえるかもしれませんが、決して大げさな話ではなく現実に存在しています。ここでいう“戦争”とは、“目に見えない戦争”のことです。“経済戦争”とも言われています。たとえば食糧問題。2010年ロシアの干ばつからくる小麦の不作・輸出禁止に端を発した穀物価格上昇問題は、瞬く間に世界の食料市場に大きな影響を与えています。また21世紀における人類最大の問題は、水資源といわれており、今後も“水の争奪戦”は激化すると考えられます。この水問題は、直接・間接に食料問題にも影響を与えています。さらには石油、石炭、天然ガスなどのエネルギー資源争奪戦もあります。昨今の日中間の問題も、もとはといえば大陸棚の海底油田をめぐる経済権益がその発端ともいわれています。そしてそれらの根底にあるのは、世界の人口増加(需要増加)の問題です。世界の人口は2050年までに5割増えるとの予測がありますが、われわれは、これらの諸問題についての問題発生の可能性を予測し、それに対する対応策を検討し、明日にでも準備する必要があります。すなわち、このような問題発生予測こそが、最大の“危機管理”と言えます。
 
特に資源を持たない極東の小さな島国国家であるわが国日本、そして日本人一人一人にとって、これらの“戦争”は“明日”にかかわる重大かつ深刻な問題です。
われわれ日本人はそれらのTVやネットで配信される“すでに起こっている経済戦争”に関するNEWSに日々触れていながら、“今の自分・明日の自分と家族には関係ない”と高をくくっていてよいのでしょうか。
今皆さんの周りで起こっている問題や危機は、すでに過去のある段階で“予兆”があり、それを発見できなかったこと、また発見できたとしてもその“予兆”が将来どのような問題に発展するかを想像せず、即座に対策を立て実行することを怠った、もしくは放棄した結果ではないでしょうか。
 
世界で起こっている“経済戦争”が、自分や自分の属する組織には、今日現在直接・間接にどのような影響があるか。また、明日、一ヵ月後、一年後にはどうなっているか。我々日本人一人一人がそれを想像し、今日できる対策は何かということまでを真剣に考える想像力と実行力が、今まさに必要なのではないでしょうか。
 
しかしその外部要因・外部環境リスク問題ばかり考えていては毎日が“危機意識に満ち満ちていて”夜もおちおち眠れません。それではわれわれが安心して眠る為には何が必要でしょうか。
 
それは夢とVISIONと目標を持ち、それを実現するという“確固たる決意”を持ち、日々その実現にむけ現実に立ち向かうことだと思います。これにより自分の置かれた“立ち位置”が明確となり、座標軸が定まります。すると、外部要因・外部環境と自らの夢、VISION、目標との係わりがはっきりと見えてきます。そして自分の立ち位置やその先の進むべき道筋、その前進を阻害する要因と、その解決策も自ずと見えてきます。これで、不要にリスク問題に振り回されることはなくなり、その日やるべきことをやり終えさえすれば、夜もぐっすり眠れるでしょう。
 
今、日本は危機的状況にあり、それは日々深刻の度合いを増しています。そのことは今の日本人のすべての人々が多かれ少なかれ“感じて”おられるのではないかと思います。そしてその状況に前向きに立ち向かっている人もいます。
このような人々こそ、夢やVISION、目標を前提とした“積極的、前向きな危機意識”を持ち、目の前に立ちはだかるすべての問題を前向きに捕らえ、国境や人種・民族などの垣根を越えた真のパートナーシップのもと、共通の目標に向かい社会をイノベーションしていくアントゥルプルヌールです。
 
日本にもそのようなアントゥルプルヌールは増えつつあり、日本の危機を救う力になるのではないかと大いに期待しています。
 
次回は別の角度からの“重要な視点”についてお話申し上げたいと思います。
 
 
(次号へつづく)

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