| 2006年5月22日 UP ニューチャーネットワークス・文 |
企業の悩み:
老舗の大手エレクトロニクス企業です。オイルショックやバブル経済、 IT 不況など様々な困難に直面しながらも何とかやってきました。しかし、ここ 10 年ほど、利益率の低下に悩み続けています。経営努力はしているのですが、なぜ利益率が高まらないのでしょうか? これは業界自体が抱える問題なのでしょうか?A社家電事業部長のY氏は胸を張って次のように言います。
「世界規模での生産工程や物流の改善にはすでに着手しました。また、比較的有望な事業への絞り込みも進めています。その他にもコスト削減の取り組みを継続しています」。
この点については自信があるようです。「しかし…」──と、Y氏は続けて語り始めます。
「うぬぼれるわけではないのですが、並々ならぬ努力を続けてきたにもかかわらず、競争はますます激しさを増しており、営業赤字の可能性も高くなっています」──そう語って、ふとうつむいた氏の姿には、心なしか疲れが感じられました。
A社は確かに複雑で困難な状況に直面しています。まず、この業界において利益低下の圧力がどのように働いているか考えてみましょう。
例えば、薄型テレビ市場を見てみましょう。この市場では、「完成品メーカー」の利益率の格差が大変大きいといえます。それは一体なぜなのでしょうか? その基本的な構造を理解するためには、マイケル・E・ポーターが提示した「業界構造5つの力」という枠組みについて紹介しましょう。簡単に言うとこれは、外部環境、特に業界構造を俯瞰的に理解するための代表的なフレームワークのこと。業界を広くとらえて、どこに利益が生まれており、どこで利益を奪われているかを把握するのに役立ちます。当該業界の競争の激しさだけではなく、その業界を取り巻く主要プレ−ヤーが及ぼす力も考慮に入れることによって、業界構造の大枠を理解する必要があるのです。
完成品メーカーは、原材料や部品・部材を調達していますから、供給業者(サプライヤー)の交渉力を考えます。一方、買い手(消費者、チャネル等)側は、一般的な消費財の場合は販売店の影響力を見逃すことはできません。
昨今の量販店の“強さ”をイメージするとよいでしょう。薄型テレビでは、韓国のサムスン電子が新規参入してきたように、新たな競争相手が増えるかどうか、新規参入してくる企業の存在が脅威になるかどうかを検討することも重要です。最後に代替品についても考慮することが必要です。例えば、パソコンや携帯端末などがテレビの代わりになって薄型テレビ市場が縮小してしまうような状況が考えられるからです。

こうした脅威とか、販売店の強さ、競争の激しさといったものを、上図の矢印で表すことができます。脅威や激しさが大きいほど、その脅威を受ける業界プレーヤーの利益獲得可能性が低くなる、というように理解できます。
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