| 2007年3月7日 UP ニューチャーネットワークス・文 |
企業の悩み:
わが社は、創業以来「シェアナンバー1」を目指して、お客様にとって魅力的な新商品・新サービスを次々と上市してまいりました。しかしながら、トップ企業はわが社の戦略を見透かすかのように、後から類似品や類似サービスを多額の広告費や販売促進費をかけて投入してきます。そのため、結局先発者の優位性を持続できず、上市して数カ月もするとトップ企業に逆転されてしまうケースが少なくありません。このようなパターンから脱却するには、わが社はこれからどうしたらよいのでしょうか?
K出版社に勤務する雑誌編集部のNさんの話をご紹介します。
「男性向け/女性向けファッション誌の最近の傾向として特に目立つのは、ファッション以外の話題でお勧めのデートスポットや新しい娯楽施設の紹介といった特集の時に、販売部数が多くなることです。私たちの出版社も、ゲームや映画など様々な娯楽雑誌を手がけており、そのことが若者向けの情報誌を発刊する際にも役立つとは思うのですが、このジャンルではトップ企業P出版社のP誌が圧倒的な強みを持っています。一週間後に開催される経営会議の場で新企画を提出したいのですが、差別化の切り口や、P誌や同業他社が真似できないような決め手が見つかりません。競争が激化している娯楽雑誌市場において、どんな雑誌にしたらK社長以下経営陣を説得でき、創刊にこぎつけることができるでしょうか?」
書店には様々な雑誌や書籍があふれています。新しい雑誌が華やかな宣伝とともに書店の店頭をにぎわせている一方で、あっという間に廃刊になることも少なくありません。固定読者を獲得できる雑誌とできない雑誌、どこがどのように違うのでしょうか。
雑誌の創刊に限らず、新商品を上市する場合には誰であれ、ターゲットとするセグメントを定め、そのセグメントのニーズやウォンツにフィットした、ユニークなコンテンツを提供しようと考えることでしょう。しかし市場には、すでに様々な商品が存在しています。既存の商品との違いを明確にし、その違いを顧客にきちんと伝えなければ、無数の既存商品の中に即座に埋もれてしまいます。そんなことにならないように、自社の商品にしかない顧客提供価値を分かりやすく訴求するためには、その商品の個性、つまり「市場における商品のポジショニング」を明確にする必要があるのです。

ポジショニングを考える場合に有効なのが、2軸を使って商品をマッピングする方法です。まず、ペットボトル入り緑茶飲料を例にして考えてみましょう。
最近の“濃い味”ブームの中、様々なアプローチで差別化を図る各社の傾向を考え、「濃い−薄い」「甘い−渋い」の2軸を設定してみました。2004年5月、伊藤園は「お〜い お茶・濃い味」を発売し、濃い味ブームの先駆けとして競合商品との差別化を図りました。ところが2006年に入り、競合他社が続々と濃い味の商品をリリースし始めました。
4月、アサヒ飲料が「若武者・濃旨(こいうま)」を発売開始し、濃いだけでなく、お茶の旨みをアピールする作戦に出ました。6月には、キリンビバレッジが「濃い生茶」をリリースし、玉露を多めに使用して「濃くて甘い」味による差別化で勝負しました。7月に入り、アサヒ飲料は夏向け新商品「若武者・濃い冷茶」を発売し、味は濃いが渋みの残らないスッキリとした味わいを前面に出しています。サントリーも「伊右衛門・濃い目」を発売しましたが、もともと渋めの伊右衛門なだけに、大人向けの濃い渋めの味に仕上がっています。
なお、上図ではポジショニングされてない花王の「ヘルシア緑茶」は、近年において市場創造に成功した事例であり、技術志向の花王らしく、今までとは全く違う用途(機能 ) を開発し、他社の緑茶とは別次元の商品として上市されたと言えるでしょう。
以上のように飲料メーカー各社は、自社の商品の優位性をアピールするために独自のポジショニングを追求し、消費者の支持獲得に日夜励んでいるのです。
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