【マネジメント基礎講座】ビジネスリーダー必須のマジジメントスキル


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VOL11 新規参入戦略―ドメイン分析

第11回 2007年7月25日 UP
ニューチャーネットワークス・文
 
( Q ) 自社は今後どの分野で成長していけばいいのか
 

企業の悩み:
当社は今まで、世間の風潮に惑わされることなく安易な多角化に頼らずに、業績向上ために日夜邁進してきました。しかし近年、お客様のニーズが高度化・複雑化するにつれ、それに対応するために本業の周辺事業を少しずつ手がけるようになりました。だからといって、資本市場の厳しい目にさらされている現在、むやみに新しい市場に参入するつもりもありません。このような状況において、自社の優位性を活かしながら持続的に成長するためには、我々は今何をなすべきなのでしょうか?


ドメイン分析によって自社の戦略ドメインを明確にしよう

  警備会社 S 社の三代目社長である K 氏のお話です。


 「セキュリティ事業の潮目が変わったとみています。人々のニーズが家庭生活の安全といった防犯に留まらず、健康や家族と安心して暮らせる健全な社会の実現へと深化し始めていると思います。その背景には日本を取り巻く経済情勢の変化、価値観・意識の変化がある。我々も時代の波頭をとらえ、成長の方向性についても失敗を恐れずに軌道修正していくべきなのです」

 

 ドメインとは「事業を展開する領域」を表し、組織活動の指針となるもので、自社の将来の方向性を示す上できわめて重要です。詳しく言えば、「組織体の活動範囲、活動領域、存在領域、存在意義」のことです。自社の事業は、いったいどのような事業なのか。誰に対して、どのような製品・サービスを供給しているのか。そもそも何のために、何を目指して仕事をしているのか。これらの「問いかけ」に対する「答え」がドメインの定義といえます。

 

 企業を取り巻く環境は常に変化しています。消費者のニーズの変化や、技術革新による旧来技術の淘汰など変化は様々です。そのため、昨日まで市場で優位に立っていた事業が、今日になってその優位性を失ってしまうことがあっても、何の不思議もありません。このような事態を避けるためには、環境変化を先読みして、自社のドメインを再定義することが必要です。

 

 ドメインの定義の仕方により、企業戦略も異なってきます。例えば、ドメインを「鉄道による輸送事業」と定義した場合と「総合輸送事業」と定義した場合を比べてみましょう。

 

 輸送手段の進歩や競争環境の変化を受けて、前者では鉄道という枠の中で優位性の確立を模索するのに対して、後者は車や飛行機など他の輸送手段も視野に入れながら自社の戦略を見直すことができるでしょう。米国の鉄道会社は、ドメインを「鉄道による輸送事業」と定義したため、トラックなどの陸上輸送との競争に勝てずに衰退してしまいました。ドメインを決めることで自社にとって「戦う土俵」と「戦わない土俵」が明確になり、戦略策定の指針になります。一方で、ドメインをむやみに拡げたため多角化や買収を繰り返すことになり、経営体力を弱らせた企業も数多くあります。

 

 「ドメイン論」における古典的な成功事例としてよく挙げられるのが、 1970 年代の NEC (日本電気株式会社)です。最高経営責任者であった小林宏治氏は、当時の NEC の事業ドメインを C&C (コンピュータ&コミュニケーション)という言葉で表現しました。 NEC はコンピュータと通信を主要な事業分野としており、その2つが重なり合う部分を NEC の事業領域とするということを表したものです。この事業ドメインは、2つの分野の連携・統合を実現するための技術の蓄積に焦点をあてる意思を組織内に伝える役割も果たしています。 C&C はそうした組織全体の向かうべき方向性を非常に簡単な言葉で表現したものなのです。

 

 実際、事業ドメインを設定するにあたって、適切な表現や言葉を選ぶことは簡単ではありません。しかし適切な事業ドメイン設定に成功すると、組織内にそれを浸透させることが容易になります。そして事業ドメインを浸透させることに成功すれば、組織の行動に一貫性を持たせることができるようになるのです。


自社ドメインを再定義する際のポイント

 それでは話を戻して、自社のドメインを再定義するときのポイントを説明しましょう。それは、自社を取り巻く外部環境と内部環境の両方にバランス良く目配りしながら、ドメインの広さや深さ、切り口を変えたりして、今後成長が見込めそうな市場に上手く適合させることです。例えば、 IBM はコンピュータの製造販売からソリューション提供へとドメインを変化させ成功しています。

 

 ドメインを企画検討する際には、製品軸と市場軸の2つで考えることが一般的です。製品軸による定義とは、自社の持つ製品の優位性や特徴などを最も効果的に発揮できる領域を選択し、事業展開を行う方法です。

 

 製品軸の例として、カゴメは「トマト」を軸に種子の新品種開発、栽培、加工などの事業展開をしています。一方、市場軸による定義とは、同じような性格を持つ顧客を一括りにして、その顧客層をターゲットとした事業をドメインとします。

 

 市場軸の例として、ジャパネットたかたは通信販売を軸にテレビ通販、ラジオ通販、カタログ通販などの事業展開をしています。これは、各通販経路を利用するユーザー層をターゲットとしたドメインと言えます。


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