| 2007年12月12日 UP ニューチャーネットワークス・文 |
企業の悩み:
わが社は創業以来、お客様にとって魅力的な商品とは何かを常に考え、新商品を開発し、世に送り出してまいりました。これまでは取扱商品も少なかったので、それぞれの事業部に裁量を与え、独立採算制を取り入れることで順調に成長してきました。しかし近年、取扱商品や事業の種類が増え、その内容も成長分野もあれば衰退分野もあるといった状況になっており、戦略マネジメントがより複雑になってきました。このような状況下で、わが社が企業全体として成長を続けるためにはどうしたら良いでしょうか?
2×2のマトリックスでキャッシュの流れを把握しよう
精密機器大手C社のM社長(当時)話です。1995年にC社の社長に就任したM氏は、当時苦戦を強いられていたパソコン事業からの撤退を決断した際、以下のように語っています。
「経営の使命とは、“従業員の生活の安定と向上”、“株主への利益還元”、“社会貢献”、“会社を成長させる投資のための余裕”、この4つをしっかり確保することだ。それができないような会社に存在価値はない。そして、この4つを満たすためには利益が重要である。だから、私は利益を生まない事業は全て撤退しようと決断したのだ」
その後M社長は、利益・キャッシュフロー重視の「選択と集中」を断行、改革を成功に導きました。
複数の事業(製品群)を抱える企業にとって、経営資源の投入パターンやその配分を誤ると競争力を失いかねません。経営者は、どのような価値判断基準で限られた資金を各事業に配分するか、常に悩むところです。特に事業の多角化を推し進めようとする企業は、持続的な成長を達成するために全社的な視点から事業(製品群)の組み合わせを常に見直し、キャッシュフローの最適化を図らなければなりません。そのとき利益やキャッシュを稼いでいる事業ばかりでなく、今はまだ利益やキャッシュを稼いでいなくても、将来の企業の成長の源泉となる事業が何であるかを見極め、経営資源を投入していく必要があります。
このような問題を解決するための一つの方法として考え出されたのが、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)が開発したPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)という経営コンセプトです。

PPMは上図にみられるように、市場成長率と市場シェアの2つの次元で個々の事業単位(より正確に言えば、SBU:戦略的ビジネスユニット)を位置づけ、マネー(キャッシュ)の流れをコントロールして会社全体として適切な利益と成長を達成する道を探るための方法です。ではなぜ「市場成長率」と「市場シェア」を軸にとるのでしょうか。
PPMにおいて「市場成長率」を基準にする理由は、その製品群の市場にどのくらい将来性があり、どれだけの投資でどのくらいの資金(利益)が得られるか、つまりその企業にとっての外部的な要因についてのおおよその目処が立てられるからです。例えば、市場の成長率が高ければそれだけ投資負担は重くなります。単にシェアを維持するだけでも市場の成長に見合う投資が必要になるわけです。
また、「市場シェア」を基準にする理由は、市場での自社製品の相対的な地位を確認するため、つまりその事業における市場での自社の競争力を大まかに把握するためです。例えば、長年にわたりトップシェアを確保してきた事業は、規模の経済性と経験効果により、業界内で最も低いコスト構造をもちます。したがってトップシェアの事業は利益率が高く、社内にはその事業から多額のキャッシュが流入することになりますし、逆にシェアの低い事業は利益率も低く、結果としてキャッシュの流入量も少なくなるわけです。
このようにPPMの最大の関心事は、キャッシュが企業内のどこで生み出され、どこで必要になるかということです。PPMを実際に描き出す際には、この点を留意しつつ、以下のような点に注意する必要があります。
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