| 2008年1月30日 UP ニューチャーネットワークス・文 |
( Q )複雑化した経営環境と競争の原理を読み解き、戦略的打ち手を見出すには?
企業の悩み:
競合他社との新商品開発競争に加えて、最近では、産業や業界の枠を超えた異業種企業も参入するなど、わが社を取り巻く競争環境は、ますます厳しくなりつつあります。ここまで業界の構造が複雑になっていくと、既存の競合他社の動向を把握するだけでは限界であり、いつどこから敵が現れ、当社の顧客を奪っていくかわからない状況です。一方上層部は、とにかく競合他社には負けない新商品を開発し、早く上市するようにと激を飛ばすだけで、競合他社や潜在的脅威に対する対抗策を盛り込んだ統合的な戦略を示そうとはしません。わが社は、今後どのようなアプローチで戦略を検討すればよいのでしょうか?
K社の経営戦略室長のS氏の話です。
「新市場で覇権を握るためには、新商品の魅力を向上させ、 1 人でも多く自社のお客様を獲得するために最大限努力するのは自明。しかし今は新市場の形成時期にあり、むやみに同業同士で叩き合うことは、新市場を荒らし、結果として市場の拡大を遅らせることにつながるおそれがある。その意味では、当社が現在置かれている立場を整理し、今後、競合他社とどのような関係の中で競争を行なっていくかを十分に考えなければならない。まず、お客様に新市場を早く認知していただくことが先決だ」
今回紹介するゲーム理論とは、主体 ( 個人、企業、国家等 ) の複雑な意思決定の相互作用について、数式等を用いて分析する学問のことです。
ゲームというと、多くの方がトランプや将棋、スポーツの試合などをイメージされると思いますが、ゲーム理論ではゲームの定義をさらに汎用的に「自分の利益が相手の行動に依存し、相手の利益が自分の行動に依存している状況」としています。ゲームをこのように考えると、私たちの周囲には実に様々なゲームが存在することがわかります。外交や安全保障における交渉もゲーム理論の分析対象となります。
一般的に相手がどのような行動を取るかによって、自分の取るべき最適な行動が変わっていきます。そこではまず相手がどのように出るかを「予想」した上で、自分の取るべき最適な行動を考えます。ゲーム理論は、このような相互依存関係の中で、自分の置かれた状況を客観的かつ簡潔に整理、理解し、次に何が起きるかを予想し、最後にどのように行動すれば自分の利益が最大化できるかを分析するのに役立ちます。
<ゲーム理論を用いるメリット>
1.複雑で入り組んだ状況を整理することができる。
2.自分の置かれた状況を客観的に理解し、戦略的打ち手につながる具体的行動が明確になる。
3.ゲームを的確に把握することで、自分に有利な方向に状況を変えられる。
ゲーム理論を使ってある状況を分析するためには、最初にゲームを構成する 3 つの要素を特定する必要があります。一つ目は「プレーヤー」です。これはゲームに参加する主体 ( 個人、企業、国家等 ) になります。二つ目は「戦略」です。これはプレーヤーの取る行動のことです。三つ目が「利得」です。これは行動によってプレーヤーが得られる利潤や効用を数値化したものです。ゲーム理論では、利得を最大化するようにすべてのプレーヤーが行動することを前提としています。
次に、分析を始めるには、ゲームの種類を把握する必要があります。ゲームには「同時ゲーム」と「交互ゲーム」という2つの種類があります。「同時ゲーム」は、プレーヤーの行動が同時に起こるようなゲームのことです。例えば、ゲーム理論の古典として有名な「囚人のジレンマ」はこの種類に入ります。「交互ゲーム」は、プレーヤーが交互に意思決定を下し、行動するゲームです。例えば、将棋や企業の価格競争はこの種類に入ります。
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