| 2008年3月12日 UP ニューチャーネットワークス・文 |
企業の悩み:
近年、ソフトサービス産業が経済に占める割合は日に日に高まっています。モノが溢れかえっている現代社会において、消費者は、モノよりもむしろ良質なサービスを受けることで自らの生活をより充実させることを強く欲しているといえそうです。当社も、旧来は法人向けサービスに特化していたのですが、経営の上層部は、一般消費者向けのサービス事業への本格参入を目論んでいるようです。そのためには、消費者の心を動かすことが重要だと認識しているのですが、具体的にどのようにすれば、人の心をとらえ、継続して良い関係性を構築できるのでしょうか?
外資系ホテルのRを利用した新婚の若い男性から聞いた話です。
「当時付き合っている彼女に夏の夕日が沈むその瞬間にプロポーズしようと思い、このホテルを予約しました。彼女には大事な話があるので、30分後にRホテルのプライベートビーチまで来てほしいと告げ、ビーチで一人緊張しながら待っていると、そこにRホテルの男性スタッフの方が、『ビーチパラソルを片付けましょうか』と声をかけてきました。 私は簡潔に状況について説明をし、『そのままにして欲しい』と頼みました。すると、その男性スタッフは、一旦その場から立ち去り、その後タキシードに着替え、他のスタッフと一緒にシャンパンと綺麗な白いテーブルや飾りつけ用の花をセッティングしてくれたのです。
ビーチにやってきた彼女はその素敵なシチュエーションに感激した様子でした。そしてちょうど夕日が沈む瞬間、私は彼女に婚約指輪を渡し、プロポーズしました。彼女は少しぎこちない笑顔で小さく頷いてくれました。二人でお祝いのシャンパンで乾杯しようとした瞬間、綺麗な花火が打ちあがりました。
妻は、一生の思い出になったと大変喜んでいます。今でも妻は、その時の思い出を友人や会社の同僚によく話をしているようです」
日本の消費トレンドは、モノからサービスへと大きく変化しています。モノが溢れかえって既に飽和状態にある今日において、質の高いサービスから得られる満足感や深い感動こそ消費者が最も欲しているものなのです。
さて、サービス・マーケティングとは、無形の財であるサービス特有のマーケティングです。マーケティングが「商品が継続的に売れる仕組みを考えること」であるとすると、サービス・マーケティングとは「どのようにすれば無形の価値を商品として継続的に世の中に提供できるか」ということになります。ですから基本的には、「誰に」「何を」「どこで」「どのような価格で」「どのようにして」提供すればよいかを考える行為です。しかし、サービスという目に見えない商品を売るためには、従来のマーケティングよりも顧客の心理を意識した、より高度なノウハウが求められます。
ちなみにサービスとは何でしょうか。下の図のように、無形財の中にもいわゆる「サービス」すなわち人間の労働から生み出されるものや「情報」、「利用権」などの種類があります。また「有形財」、「無形財」、という分類の仕方についても、実際には航空サービス(利用権+機内食)や医療サービス(労働+薬+利用権)のように組み合わされているものも数多くあります。

ここでは、サービスとは「労働や情報、利用権などの無形財が中核となって商品として取引されるもの」と定義したいと思います。
(1)取引の同時性
例えば、エステサロンをイメージすると、お客さんがその場にいて、エステティシャンが目の前にいるお客様に対してサービスを提供します。通常サービスは“在庫”できず、顧客がその場にいなければ取引が発生しません。これが「取引の同時性」です。
(2)取引の不可逆性
これは(1)と密接に関連していますが、サービスは、取引の同時性という性格から、一度取引されたものを返品することは非常に困難です。例えば、英会話のレッスンは受講後、受講前の状態に戻すことは不可能なため、返金はできません。前評判が高かった映画を観て、自分としては全然面白くなかったとしても、観た後ではどうにもなりません。
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