【マネジメント基礎講座】ビジネスリーダー必須のマジジメントスキル


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サービス・ストラテジー&マーケティング
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 また、ビジネスを拡大していく過程では、品質と効率を維持するためサービス提供手順をマニュアル化する必要がでてきます。しかし、サービス・エンカウンターでは顧客の個別要求に素早く応えなければならない場面が多くあり、高いサービスレベルで勝負しようとする企業にとってはマニュアル化が必ずしも有効でないケースがあります。日本有数の名門ホテルのホテルニューオータニでは、サービスマニュアルはわずか40ページだそうです。


 一方、サービスのマニュアル化についての先駆者である日本マクドナルドには詳細なサービスマニュアルがあり、それを徹底させることで、ビジネス経験がないアルバイトの高校生を短時間で戦力化し、ファストフードという業態開発に成功しました。


 サービスのマニュアル化は、オープンでフェアな安定した行動につながります。例えば、マクドナルドに一人で訪れてハンバーガーを10個注文して、「お持ち帰りですか?」「ご一緒にポテトはいかがですか?」と女子高生のアルバイト店員に明るく言われたご経験があるのではないでしょうか。普通に考えれば、「ハンバーガー10個もひとりで食べることは無理なのだから、持ち帰りに決まっているだろう。それにフライドポテトをマックで売っているのは当然知っているのだから、いちいち聞かないでほしい」と思ってしまうかもしれません。こうしたやりとりについて、マニュアル化の弊害との指摘する日本の有識者も少なくありません。しかしながら、そうした考え方はいささか早計です。


 ファストフードの発祥地であるアメリカでは、英語を話せない人、英語のメニューが読めない人、買い物に不慣れな高年齢者や子供、身体/知的障害者にとっても、気持ち良くオーダーできるように、あえて言葉を多くし、わかりきったことでもひとつひとつ丁寧に確認することで、顧客がストレスなく購入できるようになると考えられています。また、これらの人々の中には低所得者も少なくなく、低価格を武器にしているマクドナルドにとっては、極めて重要な顧客層でもあるのです。日本マクドナルドも、アメリカ本国のビジネスポリシーやダイバーシティの考え方にのっとって、同じようなサービスマニュアルを採用しています。


 以上のように、サービス企業では、マニュアル化を進めるか、顧客ごとのカスタマイズ化や現場への自由裁量を認めるかは、自社がターゲットにしている顧客層のニーズでとらえ、主体的に判断しなければなりません。


 そう考えると、サービス企業にとって、顧客の立場で常に主体的に行動できる人こそ必要不可欠なまさに「人財」です。そこで、後述する「インターナルマーケティング」が、今日においてより企業の競争力を高めるファクターとして重要になってきます。



キーワードその2:リレーションシップ・マーケティング

 リレーションシップ・マーケティングとは、企業が顧客との間に長期的な関係を構築し、その関係性が双方にとってメリットが得られるようにアプローチすることです。「真実の瞬間」の成功を一過性で終わらせるのではなく、企業にとって利益向上に貢献してくれる顧客層をターゲットにして、そのような顧客層を重点的かつ継続的に大切にするマーケティング施策を講ずることで、顧客ロイヤリティ(忠誠度)が高まり、利益向上と自社の競争力をもたらすのです。顧客に感動を与え、顧客との良い関係を長期的に築いていく──サービス・マーケティングとはまさにこのような意味があるのです。


キーワードその3:インターナルマーケティング

 顧客への価値創造を担うサービス提供者である従業員を企業にとっての顧客と同様に捉え、従業員の満足度の向上を目指し、顧客満足度の向上に結びつけようとする活動をインターナルマーケティングといいます。


 従業員満足(ES)を高めることで、サービス品質の向上、離職率の低減、顧客のリレーションの維持、そして、最終的には利益の向上につながります。従業員満足が向上し、サービス品質が高まれば、顧客ロイヤリティ(忠誠度)が増加します。フレデリック・F・ライクヘルドとW・アール・サッサーJr.の研究によれば、顧客ロイヤリティが5%増加すれば、利益は25%〜85%も増加すると言われています。従業員満足は利益の源泉になり得るのです。


 では、どうすれば従業員満足を高めることができるのでしょうか?その最も有効な手段の一つがエンパワーメントです。エンパワーメントとはサービス提供者に意思決定の裁量権を与えることを意味しています。サービス提供者がサービスを提供する現場で問題解決を行なうために与えられる一定の権限です。例えば、サービス提供の現場で問題が発生した際に、そうした問題を解決するために必要な予算が与えられていたり、自らの判断で臨機応変に動くことを許されていたりすることです。これにより、サービス提供者が自らの能力を発揮する機会が増え、顧客満足と共に従業員の満足も高まります。ただし、エンパワーメントについては、サービス提供のタイプに気をつける必要があります。サービス提供のタイプには下の表のような4つの分類があります。


図2;顧客ニーズと業務の関係

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