高橋 透:文
新しい年になり、今回は私たちの成長の可能性について述べてみたいと思います。私たちがこれまで以上に健全に成長するためには何が必要なのかを考えてみました。
まず、これまでの時代の流れから考えると、今、私たちの成長の基盤となるものは何であるかを冷静に見直さなければならない時にさしかかっていると思います。これまで、多くの人や組織が、会社や家族を守るため、業績回復やその向上に必死になって取り組んできました。その中で培われてきた考え方やスキルなどの良いところもたくさんある一方で、厳しい業績目標を追いかけるあまり、大事なものを見失ってはいないかを考え直してみる必要があるように思えます。
今回は、以下の3つの視点で「私たちの可能性を切り拓く成長の基盤」について私なりに述べてみたいと思います。
成長の基盤1:
自分と周りの本質的な成長とは何かを考えること
まず考えてみたいのは、私たちの本当の喜びとは一体どんなところにあるのか、ということです。私が思い浮かべるのは、家族が喜ぶ顔、職場の仲間たちの成功、親しい友人や地域の方たちとの語らい、いきいきとしたふれ合いなどです。私たちはそのように、人がいきいきできる場に長くいたいと考えます。私たちの成長とは、周りの人のいきいきとした喜びにつながっていくものでなければなりません。
もちろん経済的なものも重要ですが、その原点は人として毎日いきいきと生活し、仕事できることです。言い方を変えると、意識、気持ちのバネを失わないことだと思います。私たちの喜びとはこのような「いきいきできる場」の中でつくられる「いきいき感」なのではないでしょうか。
江戸時代末期の越後(新潟県)の禅僧であった「良寛さん」は、寺を持たず、仏法を説くわけでなく、子供たちと毬(まり)をついて遊んだり、庶民にたのまれて自作の詩やお経を書いて暮らしたと言われています。良寛さんの書は現代になっても、私たちの気持ちを優しく、いきいきとさせてくれます。しかし最近の歴史家の調査によって、良寛さんがさらさらと書いていた仮名文字は、実は長年の訓練の結果できあがったものであることが解ってきたのです。良寛さんがつくり出したものは庶民の気持ちを癒すものでしたが、それを生み出す課程においては、長年の努力と良寛さん自身の成長があったのです。
良寛さんとは比べものになりませんが、「いきいき感」を創り出すために私が心掛けていることを紹介させていただくと、それは「強み」と「アイデア」です。どのような人であっても必ずその人の「強み」があります。そこに注目し、それをどうしたら生かせるのかを考えることに集中します。これはなかなか難しいことですが、直接的な対話や関わりを十分に持つことがとても大切です。
「アイデア」とは、いかなる状況であっても、可能性の点からものごとを考え発想する習慣です。「それだったらこうしたらどうか」という逆転の発想を常に持ち、相手に喜びを与えることができます。
私の場合は、「強み」と「アイデア」に集中することで、自分と周りにいきいき感をつくり出すように努力していますが、人それぞれにいきいき感をつくり出す方法があるはずです。どのような方法であれいき活い感をつくり出すために自分らしい成長の方法を楽しく鍛えることが重要です。