VOL.4 今こそやりきるべき現場革新・活性化手法「現場パワーアップ」
ページ 1ページ 2ページ 3ページ 4ページ 5ページ
vol4:今こそやりきるべき現場革新・活性化手法「現場パワーアップ」
2007年8月22日UP

 「2007年問題」をあげるまでもなく、日本で現場力の維持・向上が必要であると、強く言われている。これには以下のような外部環境的、内部環境的な影響があるのではないか。


 外部環境的には、成熟した社会において多様なニーズが生まれていること、顧客からの要望レベルも上がっていること、先進国だけでなくその後を追う国々の人材・企業のレベル向上により、競争の激しさや商品・サービスの陳腐化スピードが増していること。また作るものが複雑化しグローバル化していく中で、品質・リスクの管理が難しくなっており、トップダウンの指示命令だけでものごとが解決できる状況ではなくなっていることなどがあげられる。


 内部環境としては、豊かな社会で育った人材の増加、ハングリーな環境に鍛えられ技能を持ち仕事を回してきた現場人材の減少や、他国の人材レベルの向上もあり、絶対的にも相対的にも企業内部の平均的な人材のパフォーマンスが下がっている。また右肩上がりの市場の終焉とリストラクチャリングの実施により、企業内のポジションがさらに減少するなど、人材のモチベーションを下げる要因が増加していることもレベル低下に影響している。


 この後さらに厳しくなることが予想される内外環境の中でも、現在の豊かさを維持させるには、将来に向けて日本の競争力を確保することは必要不可欠である。この絶対の必要条件の一つとして、「現場力の向上」があると考えるが、この現場力向上の一つの例として、β社のある一部門における現場業務での課題解決の取り組みについて説明したい。取り組みは3年目に入ったが、今後の道のりはまだ長い。


 今後の日本の課題とは、この取り組みを自然な形で全社、業界、さらには日本全体に拡げていけるかどうか。また、社会のすべての人と組織がこのような行動様式を取ることができるかどうか、ではないだろうか。


1.β社の現状

 β社は、業界内で長年続いた安定した状態にあったが、規制緩和や自由化に伴う競争激化が到来し、業績が落ち込むおそれがあった。そのため現場では、自社の先行きへの不安感も広がっていた。それは、「組織のトップやミドルの方針・ビジョンを実感できない」「組織における責任の所在が曖昧で、不明確に感じる」「意思決定が不透明で遅い」といった現場従業員の声につながっていた。


 β社の経営陣はこの10年間、業績低迷からの脱却に向け、数々の制度改革を実施してきた。組織のスリム化や人員削減、残業時間の削減など、組織のリストラクチャリングといった改革である。それが一定の短期的成果を生んだのは確かである。しかし従業員は、組織のスリム化や人員削減、残業時間の削減が続くのを見るにつけ、「やがて自分達の部門もその対象となり、組織の存続価値を問われ、部門の縮小や場合によってはなくなってしまうのではないか」と不安を感じていた。


 それもあってか、現場では、与えられた作業をきちんと、しかし淡々とこなすだけだった。何か新しいことを言い出すと、「誰がやるのか、誰が責任を取るのか、失敗したらどうするか」という質問ばかりが繰り返され、自らの発想や提案による業務改革・改善などは結局ほとんど実行されることはなかった。現場で起きている問題は見過ごされたり、上司への報告はいつの間にかもみ消されたりもしていた。


 組織は、従来からの組織体制で高度成長時代の昔ながらの仕事のやり方を続けていた。そこでは、本部は現場を知らずに言いたいことを言ってくる。聞いてみると、「隣の人ともメールでしか話さず、名前や相手がやっている仕事も分からない」「現場経験がなく、人も仕事も分からないのでこわくて現場には行くこともできない」といった声が上がってくる。その結果、組織には壁ができ、コミュニケーションが不足し、硬直化していた。当然、現場の声は、ミドルにもトップにも届かない状態だった。


 変化の激しい昨今の事業環境の中で、経営トップは、複雑な事業環境や多様化する市場のニーズに対応した経営方針や経営戦略を瞬時に検討し、社内外に向けて発信できなければならない。ところが現状は、現場と距離感があり、現場の生の声や多様がする市場の情報などがリアルタイムに入ってこない。今現場で何が起きているか、何が問題なのか、どう動くべきなのかが、ほとんど見えない、聞こえない状態となっていた。そして現場では「とにかく忙しい、やりがいを感じられない、やる気が出ない」など多忙感が高まり、モチベーションの低下は明白だった。


▲ ページトップへ戻る
ページ 1ページ 2ページ 3ページ 4ページ 5ページ
コラム5
バックナンバー
メールマガジン
【創発型パワーアップ】仕事を通して、夢と成果を創り出し、学び成長する