VOL.8 新商品コンセプトメイク(後編)
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vo8.新商品コンセプトメイク(後編)
2008年2月27日UP

[1日目]15:00 タウンウォッチング

 15時ごろになると各チームからコンサルタントに次々と電話が入った。あるチームからは、「公園に行ってみたが、子供がまったくいない。どうすればいいのか」といった内容の電話もあった。それに対し、コンサルタントは「自分たちで考え、調査場所を臨機応変に変更するように」と指示を出した。


 また、早々15時ごろに帰ってくるチームがあった。しかも調査先は1件だけ。メンバーいわく「久しぶりに歩いて疲れたし、調査はこれで十分ではないか」ということであった。コンサルタントは「この調査で商品企画書が作成できる十分な材料が集められたのか」と問いただし、残された時間、再度調査に出かけるよう指示した。


 17時半頃、各チームが続々と会場に戻ってきた。各チームは、駄菓子、子供向け商品のカタログ、雑誌、雑貨などの企画のための様々な材料を買い込んできていた。メンバーはそれぞれ興味深い感想を口にした。


 「5000円という限られた金額がいい。買うものをよく考え、発想がわく。昔お祭りで、親からもらった500円をどう使うかを一生懸命考えたことを思い出す」


 「はじめは公園に行ってみたが、今の時代、都心の公園には子供はいない。そもそも都心には子供がいない上に、周りの人に聞くと安全の問題で子供たちだけで遊ばせることはないという。私たちは子供に関係する仕事をしていながら、そんなことすら知らなかった。しかし、公園でマクドナルドのハンバーガーを食べる親子を発見し、急いでマクドナルドに行ったところ、子連れがたくさんいた。子供を発見できてほっとした」


 「郊外スーパーのお菓子売り場に行ってみたところ、どのお菓子を買うかを決めるのはむしろ親。子供がほしがっても親がセレクトしているケースがほとんどだ。しかし、売り場を観察したのは久しぶりだった。普段いかに売り場を見ていないか痛感した」


 どの感想も、「商品企画の仕事に携わっているものの、消費者の行動や消費者を取りまく環境、状況、価値観の動向、商品を使用する場面を観察できていないかが、イヤというほど分かった」といった内容であった。しかし同時に、精一杯動き、自分の目で観察し、何かをつかんだという充実感も感じられた。

[1日目]18:00 夕食後の写真鑑賞会

 18時からの夕食後、19時から1時間半ほど、今日取材してきたデジタルカメラの写真鑑賞会を行なった。各チーム200枚から300枚ほどの写真を撮影してきており、各人が主な写真について解説した。普段無口な人も、半日の自分の経験やそこでどんな発見があったのかを自分なりの言葉で説明していた。


 他チームの写真を鑑賞している間、企画の若い女性スタッフが熱心にメモを取っていた。コンサルタントが何をメモしているのかと尋ねると、女性スタッフは次のように答えた。「写真を見たり、その話を聞いていると、今の私の担当商品の企画アイデアが次々と湧き出てくる。もったいないからどんどんメモにして残しているのだ」。


 20時半に終了するはずだった写真鑑賞会が、22時まで続いた。写真鑑賞会の後、遅い時間にもかかわらず参加者全員でカラオケにでかけ、その日は深夜まで盛り上がった。


[2日目]8:30 タウンウォッチングでの取材をもとにコンセプトボードを作成

 前日のカラオケで飲み過ぎた人もいたが、タウンウォッチングの勢いは、ワークショップ2日目も続いた。2日目の作業はタウンウォッチングで取材した材料をもとにコンセプトボードを作成することである。その作業を8時半からお昼の12時までに進めなくてはならない。コンセプトボードには次のようなものが表現されていなければならない。


・前日のワークショップで解説のあった「商品コンセプト」
・「商品コンセプト」の中でも特に消費者の分析と商品イメージを明確に示すこと
・競合企業、商品調査
・企画商品の市場ポジショニング
・マーケティング戦略


 加えてコンサルタントからは、今回のワークショップでは消費者の分析や商品のイメージを数値や文章で示すのではなく、タウンウォッチングで撮影した写真や雑誌やカタログの切り抜きを切り張りして「コラージュ」風に作成するようアドバイスがあった。


 メンバーは普段、数値や文章もしくは試作品でのプレゼンに慣れていたため、今回のようにイメージ中心の企画で周囲や上司を説得することに不安も感じていた。しかし、写真のカラーコピーや雑誌の切抜き作業といった、小学生の図画工作のような作業はとても楽しく、作業しながら次々と発想がわいてきた。


 メンバー全員のコンセンサスをとりつつ、わずか3時間半で5枚のコンセプトボードにまとめなければいけないため、自然と作業は同時並行的なものとなった。絵の得意な人は絵を描き、キャッチコピーが得意な人は、印象的なキーワードを検討するなど、それぞれが得なことが何であるかを確認し、うまく作業分担した。


 常に周りの状況を確認しながら自分が担当する作業を進め、チーム全体としてコンセプトのズレがないように各人が自発的に協力した。誰かが新たなアイデアを発想した時は皆が集まり、それがよければ各自の作業に取り込むなど、すばやく柔軟なスタイルで作業が進められた。時間が経ち、コンセプトボードの形が出来上がってくる段階に入ると、どのチームも昨日結成されたばかりとは思えないほどの結束力を見せた。中には、紙でお菓子のパッケージのサンプルを作成してしまうチームさえあった。


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