|
||||||||||||||||
|
2007年2月21日 UP ニューチャーネットワークス・文
不安感や余裕のなさが消費活動を抑制する今年2007年3月の決算では、上場企業のうち約3分の1が過去最高益になると言われている。しかし、企業の好業績ほどには、消費活動は活発化してないようだ。その理由としてよく耳にするのは、働く人の収入が企業の業績ほどは改善していないのが原因だという話だ。確かに収入がアップしないのは、消費活動を抑制する大きな原因の1つだろう。しかし原因は本当にそれだけなのだろうか。ここ3、4年の間、企業の業績が好調を続けながら消費が低迷している背景には、これまでに私たちが経験したことのない複雑な要因があるような気がする。 そこで私は、今の消費低迷の真の原因が何かを、周囲に聞いてみた。 ある地方で聞いた話は、「地方は都市部よりも不景気が長く続き、中小企業の倒産や、そこで働いていた人の困窮状態をイヤと言うほど見せられてきた。だから景気が良くなった今も、不景気のことが忘れられずに、常に不安なのだ」ということであった。 一方で都市部の大企業で働く管理職の人から聞いた話は、「トップから求められる業績がますます厳しくなっている。ポストの競争も厳しく、課長、部長になるのも大変。仕事のことで頭が一杯で、いつも追われているような気がする」「自分が所属する会社が、他社にM&Aされ、今自分がやっている仕事が不要になってしまうのではないか。たとえ買収されなくても、社内のリストラで同じ結果になるのではないか。自分が予期しない不祥事や事故などで企業がだめになってしまうのではないか」といった不安な気持ちがよく聞かれる。その他にも、高齢化した親の介護などの問題を抱えていることも大きな不安材料のようである。 まとめると、多くの人は、現在を生きることに必死でありながら将来に対しても不安を抱え、物理的にも心理的にも消費を楽しむ余裕がない、といったところではないだろうか。 消費低迷の中でも強いヒット商品一方、消費低迷と言われる中で、ヒットしている商品やサービスもある。 例えば海外旅行。2006年の観光目的の海外旅行者は過去最高で、日本人の6人に1人は海外へ出かけたと言われている。確かに最近の海外旅行は、価格も手ごろだ。日本とは全く文化の異なる海外に行ってしまえば、短い時間ではあるが、仕事や将来の不安も忘れられる。芸術や大自然などを楽しむ貴重な体験を、手頃な価格で味わえることも多い。日常の現実を忘れさせてくれる環境を海外に求めようとするところが人気の原因なのだろう。 身近なところにもヒット商品はある。私が最近はまっているのは、花王から発売されている新型「クイックルワイパーハンディ」である。この商品は、簡単に言うとホコリを掃除するハンディタイプのモップである。“狸のしっぽ”のようなフワフワした感触や、色もオレンジ系のピンク色でかわいい。自宅のパソコンの周りにたまったホコリを掃除するものがないかとスーパーマーケットを2、3カ所探し回って出会えた商品だ。机の横にぶら下げておき、気がついた時にさっとホコリを拭きとると気分がよい。このモップを使うようになってから、掃除(=面倒な作業)が、ちょっとした愉しみに変わった。自宅で私が楽しそうに掃除をする姿を2人の子供達が見て取り合いとなってしまい、結局同じ商品を3本も買うことになってしまった。 3つ目のヒットは、子供が大人の仕事を本格体験できるアミューズメントパーク「キッザニア」である。私はまだ行ったことがないのだが、雑誌やTVで紹介されているのを見るだけで、大人の私も夢の体験に浸ってみたい気分になる。「キッザニア」は、まさに日本の社会のミニュチュア版で、トラックやバスの運転手から、裁判官、消防士、警察官、銀行マン、研究者、お菓子屋さんやパン屋さんまで、子供が様々な職業を体験できる場所である。プロのユニフォームを着て、子供用に改造された本物そっくりの設備や機器に触れて実際体験することができる。いつもならじっと見ていることしかできない“大人の仕事”を実際に体験できるとあって、数カ月後まで予約が一杯とのことである。 「キッザニア」は、子供だけが楽しめる場所ではない。どんな大人でもかつて子供の頃に抱いた「将来大人になったら何になりたい」という夢を、自分の子供の体験を通じて思い出させてくれる。また、自分が携わっている仕事を子供に体験させることを通じて、「お父さんやお母さんは、社会を支える大事な役割を果たしているんだよ」と教えてあげられる。なかなか自分の会社に子供を連れて行けなくても、ここなら胸を張って自分の仕事について話すことができる。
|
||||||||||||||||