戦略仮説検証のための市場調査

検証すべき範囲を広げ、検証サイクルを速くする

■検証するべき範囲は広く、その検証サイクルは速くする

市場調査で検証するべき対象は、これまで検討してきた技術マーケティング戦略仮説です。その技術マーケティング戦略仮説とは、以下の5つの要素から成り立つものです。

・顧客経験価値仮説
・製品・サービス仮説
・エコシステム・ビジネスモデル仮説
・バリューチェーン仮説
・コア技術仮説

見てわかる通り、これら5つは、事業要素すべてと言ってもよいくらい広範囲にわたっています。もしもあなたが研究者なら、自分はコア技術の検証だけを担当すればよいと考えてはいけません。すべての仮説の検証に関わるべきです。したがって、視野を広げて取り組む必要があります。

そんなことを言われても、自分には開発設計、生産、販売などバリューチェーンに関する知識がない、顧客経験価値を検証するためのマーケティングの知識もない。そう思って不安になるかもしれません。でも心配は不要です。

現在不足している知識やスキルは、このコラムや実務書等を活用しつつ、実践を通じて身につけていけばよいのです。知識やスキルを習得してから実践、では遅いし、そもそも知識・スキル習得の効率が悪いからです。

また、検証期間・検証サイクルも短い方がよいでしょう。半年や1年もかけた市場調査は現実的ではありません。3か月以内で市場調査を進めます。3か月の中で、顧客ヒアリングを繰り返し、技術マーケティング戦略仮説を3回書き直す、というように、市場調査と検証を短いサイクルで回していくことが理想です。

検証活動と仮説の修正、進化は、製品・サービスを市場に出したら終わりではありません。むしろ上市以降の修正、進化のほうが大事です。なぜなら社会の動向、顧客、競合は常に変化しているからです。製品・サービスは常にアップグレードされ続けなければならない時代なのです。

■一人で検証するのではなく、チームで検証に取り組む

当然ですが、市場調査・検証は一人二人で行なうものではありません。通常は、5人〜7人ほどのチームで取り組みます。そのチームは、マーケティング、営業、設計開発、製造、カスタマーサービス、研究開発など異なる組織から集めた、クロスファンクショナル、つまり機能組織横断的なチームとします。事業というものは機能横断的な活動ですので、市場調査・検証も同様のチームで実施すべきなのです。

クロスファンクショナルチームで取り組むことで、市場調査のスピードも精度もかなり向上します。また、市場調査段階で各機能組織のメンバーを巻き込んでおくことで、事業計画策定や、事業化の段階で各機能部門の協力を得やすくなります。そのためにも、各部の部長クラスがサポーターとしてクロスファンクショナルチームのメンバーをバックアップしてくれるような体制をつくるのが望ましいでしょう。

■市場調査の中で、想定外を楽しみ、柔軟に仮説を修正し、進化させる

最初に企画した技術マーケティング戦略仮説を市場調査で検証した際に、想定外の結果が出ることも少なくありません。市場が存在しない、小さすぎる、想定した価値が存在しない、価値は存在するが想定した対価を払うほどでもない、などです。

このように、想定していた仮説が多少外れていても問題はありません。素早く方向転換し、仮説を柔軟に修正すればよいのです。これをピボッティングと呼びます。ピボッティングを繰り返しても、結果的に顧客が高い価値を感じ、かつ実現可能なものが創造でき、競合が想定もしない技術マーケティング戦略が構想できればよいわけです。大事なことは、素早く、アジャイルに仮説→検証→修正・進化を繰り返すことです。

← コラム一覧へ