戦略仮説検証のための市場調査

戦略企画の前に確認すべき制約条件

■まず戦略企画の制約条件を確認する

市場調査やアイデア・コンセプトづくりにきちんと時間をかけたのに、製品企画やマーケティング戦略、事業戦略など「戦略企画」のアウトプットの段階になると、どうも実現可能性が見えてこないというケースがあります。そうなってしまう原因は多くの場合、企画の最初にきちんと各種の制約条件を踏まえていないことにあります。どんな企業のどんな企画でも、社内外の制約条件が必ず存在します。

技術マーケティング戦略を企画構想する上では、①外部環境の制約条件、②内部環境の制約条件、そして③プロジェクトの制約条件の3つがあります。それらの制約条件を前提として企画を進めることが、後に戦略を実現する上でとても重要なのです。

技術マーケティング戦略企画で確認すべき外部環境・内部環境・プロジェクトの制約条件を整理した図

技術マーケティング戦略企画の制約条件

外部環境の制約条件の一つが、いわゆるPESTです。これはP(Politics:政治)、E(Economy:経済)、S(Society:社会)、T(Technology:技術)の4つの動向が自社にもたらす制約のことです。詳しくは次回以降のマクロ環境分析で説明しますが、例えば輸出相手国の関税の引き上げや、国際情勢緊張化による原油価格の上昇、金利の引き上げなど、自社に影響のあるマクロ環境の変化の中から、現在構想中の企画にとって明らかに制約条件と認識されるべきものを明確にしておかなければなりません。
外部環境の制約条件には、そのほか、競合動向、顧客動向、業界内外の動向とエコシステム・ビジネスモデルなど、社外の環境変化から生じる制約条件が含まれます。

二つ目の内部環境の制約条件とは、技術マーケティング戦略の企画の前提となる会社全体のパーパス、経営戦略ビジョンをはじめ、財務的制約、開発、生産、物流などの業務プロセス上の制約、現行の製品・サービス、保有技術、人・組織のポテンシャルなど、社内において制約条件と考えられるものすべてが含まれます。
ただし、企画担当者からは制約条件と考えられるものでも、経営トップ層から見れば、制約条件と考える必要のないものもあるかもしれませんので、社内で確認しておく必要があります。

三つ目のプロジェクトの制約条件とは、技術マーケティング戦略企画プロジェクトの進行自体に関するもので、プロジェクトの実施期間、割り当てられる人的リソース、組織体制、求められる成果などが該当します。限られたリソースと限られた時間の中で、最大の効果が求められます。
技術マーケティング戦略の仮説検証のための市場調査を行なう初期の段階で、上記のような制約条件を認識しておくことで、後の戦略実行段階で新たな制約条件を発見したり、制約条件のレベルを具体的に把握したりするのに役立ちます。

また、これらの制約条件を踏まえることで、戦略企画の範囲が明確になり、実践的かつ効果的な戦略アイデアの創造にもつながります。反対に、制約条件を踏まえない戦略企画は、企画そのものは良さそうに見えても、会社全体として業績に貢献しなかったり、発展性の少ないものとなってしまう可能性があります。

例えば、画期的な新製品の開発企画ができたが、その生産は外部委託なので、自社工場の稼働率が下がり、結果として会社全体の業績が悪化してしまう、といったケースです。これは「自社工場の稼働率の維持向上」という社内の制約条件を踏まえなかったことで起こる問題で、実際、過去には総合家電メーカーなどでよく見られました。

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