■市場調査の情報源で迷わない
生成AIが普及した現在、市場調査にもAIを活用するのは当然ですが、生成AIでの調査だけでは不十分な場合や、生成AIで必要な情報が得られない場合があります。そのような場合、的確な情報がどこにあるのか見つけ出し、その情報源にどうしたらアクセスできるか調べることに時間を要しがちです。
しかし、市場調査に必要な情報源に特別なものは何もありません。また、競合を含めた市場関係者も皆、同じような状況におかれています。迷うことなく必要とされる情報源にあたり、調査します。
市場調査の情報源は、大きく1次情報と2次情報に分けられます。1次情報とは、顧客ヒアリングやアンケート調査などを通じて、調査者が被調査対象を直接調べて得た情報のことです。2次情報調査とは、論文、レポート、ニュース記事、レビューなど、1次情報をもとに他者が分析・解釈・要約した加工情報です。
1次情報の調査による情報収集は効果的ですが、時間と労力がかかります。一方、2次情報の収集は、インターネットや最近では生成AIなどを活用して、簡単に実施できますが、仮説検証の目的に照らしてふさわしいものかどうかの判断や、情報そのものの信ぴょう性の確認が不可欠です。
2次情報には、以下の図にリストにあるようなものがあります。大きく分けて公開情報と非公開情報があり、公開情報はさらに第三者情報と当事者発信情報に分けられます。第三者情報には、行政、大学などの公的機関が調査したレポートの調査報告書や、大手の新聞、雑誌、テレビなどのマスコミ情報、業界専門紙誌、大手シンクタンクによる情報、業界専門誌、業界紙、専門誌などが発信する情報が含まれます。当事者発信情報には、企業などの公式ウェブサイトや公式SNS、パンフレットや製品カタログ、実際に販売された製品やサービス自体が含まれます。これらの当事者発信情報も信ぴょう性の確認が必要となります。

非公開情報は、自社内にある社内情報と社外情報とに分けられます。社内情報には、社内で共有されている過去の調査結果や、社内の組織・個人の保有する情報、自社が価格改定などのアクションを起こしたことに対する顧客や競合の反応情報などがあります。最近はデータベースの共有が進み、こうした情報が社内イントラネットで検索可能になっている企業も多いでしょう。
社外情報には、代理店・販売店・卸などの取引先および顧客が持つ情報や、金融機関、学会関係者、業界誌記者などの業界関係者が持つ情報、特定業界・技術に特化した専門調査機関の調査レポートなどがあります。これらの情報は、入手するにあたって、調査目的などを開示する必要もありますので、それが競合に伝わる可能性があることにも注意しなければなりません。
■自身のキャリアの可能性を広げる
これまで述べた通り、技術者がクロスファンクショナルなチームのリーダー、またはメンバーとして、技術マーケティング戦略仮説検証に参加することは、技術者自身にとって将来のキャリアの幅を広げるチャンスとなり得ます。
検証すべき技術マーケティング戦略仮説は、コア技術のみならず、顧客経験価値の企画、製品・サービスの企画、製造や販売などのバリューチェーンの企画、広くビジネスモデル・エコシステムの企画など事業全体にわたります。研究開発や設計など技術開発の分野に関わる人が市場調査を経験することは、開発の効率を上げるだけでなく、将来マーケティングや顧客サービス、事業戦略企画に関わる新たなキャリアの可能性を切り拓くのです。調査・検証した技術マーケティング戦略仮説のテーマが事業化に成功すれば、将来事業全体をけん引する事業のリーダー的存在になれる可能性もあります。
したがって、「自分は技術者だから、技術に関係することだけを見ていればよい」と思ってしまうのは、大変もったいないことです。あなたが技術者なら、市場調査などの技術マーケティング戦略仮説検証の活動を通じて視野を広げ、ぜひ事業開発全般に関わる知識・スキルを身につけていただきたいと思います。