戦略仮説検証のための市場調査

エコシステム分析で業界構造の変化を理解する

■業界構造、エコシステムを理解する

エコシステムに関しては、技術マーケティング戦略仮説のフレームワークでも述べた通り、技術マーケティング戦略の仮説の一要素であると同時に、現状および将来のエコシステムを分析することは、その仮説検証においても必須項目です。

エコシステム分析と似たものに、従来は「業界構造分析」「5フォース分析」などといった方法がありました。これら「業界構造分析」「5フォース分析」はいずれも、自社と周辺の市場参加プレイヤーとの関係を示す分析手法ですが、今やろうとしているエコシステム分析には、以下のような違いがあります。

・自社と周辺の市場参加プレイヤーとの関係を、より広く分析する
・エコシステム内の情報・ノウハウのフィードバックループを分析する
・エコシステム自体の拡張性とそのドライバーを分析する
・IoT、生成AIなどのDXによる関係性の変化・進化を分析する

技術マーケティング戦略で分析すべきエコシステムの参加プレイヤーとフィードバックループを示した図

エコシステムのイメージ

近年、あらゆる分野でDXが進み、一産業分野のエコシステムが進化の過程で他の産業のエコシステムと融合することも多く見られるようになりました。わかりやすい例がスマートフォンでしょう。現在のスマートフォンのエコシステムは、通信業界のエコシステムに、音楽、デジタルカメラ、その他無数のサービスのエコシステムが融合してできあがっています。今や、各産業のエコシステムは、スマートフォンのエコシステムとの接点なしでは存続できない状況になりました。

スマートフォンを例に、通信・音楽・カメラなど複数の業界エコシステムが融合する様子を示した図

エコシステム同士の融合

スマートフォンに限らず、自動車、住宅業界、不動産などの業界もデジタル化に伴って大きく変化していくと思われます。これまでの「業界の垣根」が低くなり、業界同士が融合・連携して、顧客にとっての新しい経験価値を生み出していくのです。

エコシステム分析は以下のような手順で進めます。

手順①:技術マーケティング戦略仮説の対象となる業界と、エコシステムの範囲をある程度特定する。
手順②:エコシステムにおける主な参加プレイヤーを挙げる。
手順③:自社も含めた参加プレイヤー同士の関係を線で結ぶ。関係とは「モノやサービスの流れ」「お金の流れ」「情報・ノウハウの流れ」の3つです。線は詳細に描くと認識しにくくなりますので、主な流れだけに絞ります。
手順④:顧客経験価値の創造に最も寄与しているプレイヤーを分析する。
手順⑤:エコシステムの中で、コアとなる技術・能力は何か、およびそれを保有するプレイヤーを分析する。
手順⑥:最終受益者、顧客企業などから自社を含むプレイヤーへの情報・ノウハウのフィードバックループを分析する。
手順⑦:マクロ環境分析も含め、エコシステムが急速に拡張する仕組みを分析する。

こうして現在および将来のエコシステム分析が済んだら、構想したエコシステム・ビジネスモデル戦略仮説をそれと対比させ、実現可能かどうかを検証します。

つまり、現状および将来予測されるエコシステムに対して、仮説で構想したエコシステム・ビジネスモデル戦略の実現性にどれぐらいギャップがあるのか、そのギャップは、マクロ環境変化、参加プレイヤーの動向や自社の努力で埋められる可能性はあるのか、などを検証します。そして必要に応じて仮説を修正していきます。

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